生活に支障を来すほど ・不安がある ・何をするのもおっくうだ… |
|
◆ うつ病の診断基準 |
何をするのもおっくうだ。 誰にでも疲れた時はそういうひとときもあるものですが、気分を変えたり、一晩ぐっすり寝たりすれば良くなるものです。ところが疲れているのだからと自分を言い聞かせても、熟眠することもできず、気分転換もできずにおっくうさばかりが募る時は専門家の力を借りた方が早く回復できるでしょう。 うつ病の診断基準は以下の9項目のうち5項目以上が同じ2週の間に認められること、少なくとも落ち込んだ気分またはおもしろいことや楽しいことがなくなった状態であることが必要です。詳しくは専門家に相談しましょう。 (1)ほぼ毎日落ち込んだ気分であり、主観的に悲しいとか虚ろであるだけであるか、周りから見ても泣いてばかりいる状態(子どもや思春期ではイライラした状態であることがある) (2)おもしろいことが全然ない、楽しいと感じられることがない。ほとんど一日中体を動かすのがおっくうで周りから見ても動きが少ない。 (3)ダイエットをしているわけでもないのに体重が5%以上減る。あるいは増える。あるいはほとんど毎日食欲が減ったり増えたりする。(子どもの場合、標準体重に達しない。) (4)ほぼ毎日の不眠または過眠(いくら寝ても眠り足りない) (5)ほぼ毎日じっとしていられないか動くのがおっくうである(自分でそう感じられるだけで なく、周りの人が見ても) (6)ほぼ毎日疲れている、気力がない。 (7)ほぼ毎日自分は存在価値がないと感じ、過剰な、あるいは的のはずれた罪悪感にさいなまれる (8)ほぼ毎日思考力や集中力が低下し決心がつかない(自覚的にも客観的にも) (9)繰り返し死ぬことを考える(ただ死を恐れるというのではなく)また実際に自殺を試みる うつ病のつらさは文字通り死んだ方がましなほどのことさえあります。が、正しく治療すれば必ず良くなりますし、快方に向かえば薬をやめることを目指して療養することも可能です。 一人で悩むことなく、経験のあるプロに相談して一日も早く楽になってください。 周りの人がうつ病である場合、本人を励ましてはいけません。がんばることができなくて悩んでいる人ががんばれと言われると打撃が大きいからです。 |
◆ うつを理解しよう |
コップに半分水が入っているのを見て「まだ半分も残っている」と考えれば、ほっとするのに対して、「もう半分しか残っていない」と考えれば不安になるといったように、ものの考え方で感じ方は左右されます。 「うつ」があると、落ち込んだり、自分を否定的にしか感じられなかったり、体調もかわってきて、意欲までなくなることもあります。「うつ」は精神科ではずっと感情の障害、気持ちの変調だと思われて来ました。 そのため治療にあたって患者さんがどう感じるかが注目されました。認知療法の立場では「うつ」は感情の障害ではないのです。歪んだ否定的な「考え方」の為に落ち込んだり、自分を否定的にしか感じられなくなったり、体調までかわってきたり、意欲までなくなるのです。これは知らず知らずのうちに身についた非合理で悲観的な態度が原因しています。 否定的な考え方があるから「うつ」になったり、つらい気分になります。憂欝な時は大抵、調子の悪くない時とは全く異なった考え方を知らず知らずのうちにしています。心が否定的な考えばかりで満たされていると、そのことで自分をうちひしがせる気持ちになってしまうのです。 否定的にばかり考えていると無気力になり、自分はだめだという気持ちになってしまいます。気持ちの変化ばかりに注目して否定的な考えや否定的な受けとめ方が基本にあることがしばしば「うつ」の症状で見逃されているのです。このことに気づくこと(認知)が回復への鍵です。 否定的にばかり考えてしまう(脳にブレーキをかける)ことが最も重要な症状なのです。「うつ」になった時はいつでもその直前にどんな否定的な考えをしていたかを振り返るようにしてみてください。これらの思考がまさにいやな気分の原因だったのですから、この考え方を変えることで気分を変えられることを体験してみてください。 |
◆ 認知療法とは |
認知とは耳慣れない言葉です。のどが渇いた時コップに半分水が入っているのを見て、「もう半分しか残っていない」と不幸に感じるか「まだ半分もある」と安堵するかは事実をどのようにとらえるかという「認知」の違いによります。 ちょっとした不始末を人生の一大事のように感じてしまったりといった「認知のゆがみ」に気づいてもらうことで「うつ」を解消したり、再発を防ぐのが認知療法です。 認知療法の要は他力本願ではなく自らを助ける自助という点にあります。この治療法は医師との面接だけでなくワークブックの自習によっても効果をあげることができることが統計学的にも明らかになっています。 「うつ」はどのくらい遺伝によるものなのでしょうか? 科学的な研究によると遺伝が関係しているとされる「うつ」は全体の16%といわれています。残りは環境との関係によるとされているのです。 「うつ」は心の風邪ともいわれ、誰でもがかかる可能性があります。が、死に至ることもある病です。近年うつによる死者の数は増えているというデータがあります。さまざまな抗うつ薬の使用量の増加にもかかわらず、この数字は増えてきているのです。このことを知らされるだけでも憂鬱になります。が、幸いなことに「うつ」から脱する頼りになる方法があるのです。 「うつ」になってしまう人は体調、仕事、対人関係、学業、金銭的なことであれ、ある一つ(ないしいくつか)のことが解決できないと頭にこびりついてはなれず(認知のゆがみ)、気持ちの切り替えができなくなるタイプの方が多いのです。気がかりなことが解決しなければ、脳の中の特定のネットワークを消耗させ、堂々巡りの悪循環に陥ってしまいます。 「あのことはこうなってくれればいいな」と願うにとどめて気持ちを切り替え、解決のつけられる別の事柄に着手してみましょう。それらに注意を向けてゆくうちに「うつ」の気分が少しでも晴れればすでに回復は始まっています。 はじめに解決の糸口がどうしても見つからなかった問題についても別の角度から突破口が開けたりするものです。 |
◆ うつ病の対人関係療法 |
対人関係療法では現在のうつに関係しているキーパーソン(原因となっている人物)は誰かに注目して、短期(9−12ヶ月未満)に症状の改善と再発予防できるレベルを目指します。 あなたのうつに今現在寄与しているのは何でしょうか? (過去ではなく)現在のストレスは何ですか? 現在のストレスに関係している中心人物はは誰ですか? 現在の失望や不安は何ですか? あなたは問題の対処法を学んでいますか? あなたにとってうつを克服するための資質(よりどころ)は何ですか? あなたが(罪悪感、恥、恨みを思い起こす状況について語ることにより)つらい気持ちを発散するのを手助けします。 ご自分の願いを明らかにして他人とうまくやって行けるよう手助けをします。 うつに陥る原因となった誤った情報をいかに訂正できるかを相談します。 対人関係療法ではだらだらと年余にわたることなく、嫌な「うつ」から脱する援助が行われます。 |
◆ うつから立ち直るきっかけ → こちらへ |
◆ 抗うつ剤をやめるには |
抗うつ剤の離脱についてネット上で抗うつ剤はなかなかやめられないとか、やめようとするとひどい目に合うとかいった誤解が紹介されています。 抗うつ剤は手順を踏めば安全にやめることができます。薬を少しずつ減らすこと。ちゃんと精神療法をして薬を減らすタイミングを見極められる医師に診てもらうことです。 精神療法には時間がかかるのに対し、今の保険制度では患者さんを数こなさないと経営が成り立たないというジレンマがあり、制度の改善が待たれます。地域の精神保健センターに問い合せれば良心的に診てくれる医療機関を紹介してくれます。 |
■ 自閉スペクトラム症 |
自閉スペクトラム症とは |
対人コミュニケーションの著しいぎこちなさがあり、周囲に理解してもらえないと非常な緊張で苦しむ傾向がとみにある人達のことを最近ではこう呼ばれます。 一人で作業する分には非常な集中力と能力を発揮します。 そのためにグループでの作業を要する場面ではドロップアウトしてしまう可能性が高い傾向があります。 |
周囲の人の望ましい関わり方 |
対人コミュニケーションのぎこちなさを理解してあげて、それは差し置いて長所としての個人で行える作業への集中力と能力を十分に評価すること。 |
苦手な場面 体調を崩すきっかけ |
対人コミュニケーションの著しいぎこちなさ故にグループで作業しなければならない場面では非常な緊張状態となってドロップアウトする傾向がある。 |
体調を崩す時の注意サイン及び体調が悪化したときのサイン |
対人コミュニケーションを要する場面、特に無理解な人間と接触しなければならない場面では異常と言えるほどの反応を示す。 |
体調を崩しそうなときの対処方法 |
理解の無い人との接触を避け、とりあえず緊張をほぐす。 上記への理解が充分であればフルタイムでの就業も可能です。 |