発達障害と言ってもいろいろな種類があります。すなわち、国際疾病分類によると、会話および言語の特異的発達障害、表出生言語障害、受容生言語障害、てんかんにともなう後天性失語症(ランドウークレフナー症候群)、学力の特異的発達障害、特異的読字障害、特異的書字障害、算数能力の特異的障害、小児自閉症などです。 多いのは自閉スペクトラム障害(以前はアスペルガー症候群と呼ばれていた)およびADHD(注意欠如多動障害)です。ADHDには多動や注意欠如に応じて効く薬も有りますが、何れにしても「自己肯定感」をいざなえるように話を聞いてもらい、それをきっかけにやはり自分で自己肯定感を身につけてゆく事が社会への適応を良くするのに役立ちます。 |
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発達障害のうち、成人の自閉スペクトラム症 A S D症候群の場合 成人になって悩みが募って来院される方 すなわち 人と交わした会話が気になる。果たしてこれで良かったのだろうか、としきりに悩む。 空気が読めないので雑談などが苦手。やはり「あの時あのような事を言って良かったのだろうか」が気になる。 そうした事で不安に陥る。 などのために友人や同僚、上司とのコミュニケーションが不安定になってしまう。 周りの物音が気になる(知覚過敏) 学校での得意な科目と不得意な科目の凸凹がひどい (心理テストでこれが明らかになる場合もある) これらの方の場合 得意なところを伸ばし、不得意な点は差し置いて生活して行くことができるようになるにつれて生きづらさを感じないで日ごろを送れるようになります。少なくとも人並みの生きづらさで済むように。 と言っても直近や、過去に遡って不幸な体験を反芻してしまい、ますます調子が悪くなる方が多く見られます。そのために同じようなドロップアウトを繰り返される方もいます。 それらを乗り越えるコツとして悔やまれる過去の体験が思い浮かんだ時に、その度ごとに今まで生きてきて最も嬉しかったことや今日嬉しかった新鮮な喜びをカウンター的に思い浮かべることが効果を発揮する場合があります。 |
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高機能自閉症スペクトラム(A S D)すなわち成人になって受診された、ないし小児の頃から 診断がついていて成人になった高機能A S Dの患者さん。 幼い頃から知的障害がうかがわれる場合はともかく、他の医療機関から発達障害を疑われて、これに携わっている医療機関に紹介されてくる患者さんの親御さんはいわば慌てふためいておられて、その慌て方が当事者に微妙に作用し、ますますお互いに自信をなくすように感じられるのですが、こう言った印象、現象についてのエビデンス(統計学的に有意に証明される)は明らかではありません。 が、この両者の間の緊張をほぐす事を特に親御さんに十分に納得して頂くことが当事者にとっての生きやすさに大きく左右する、というのが日常の支援診療をしていて感じることです。(やたらに心理テストなどの結果に振り回されることのないよう、この辺りを納得していただく、心理教育と呼ばれる)また当事者の皆さんには 認知行動療法(C B T)だけでなく、 行動分析(やたらネガティイブな行動、感情、考え方に捉われるのではなく、「面白い、やり甲斐がある」と取り組める事にも取り掛かって意欲を取り戻し、ポジティブな行動へとつながる好循環に持って行く) 言葉遣いや人とのコミュニケーションスキルを磨く(S S T:Social Skills Training) 以上を適切にトレーニング、サポートして行くことで当事者の生活のしやすさ (Q O L:Quolity of Life)を丹念に改善して行く、ということが求められているのだと感じます。 |